2021年10月1日(金)映画007シリーズ最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』が公開されました。
今回も前作『007 スペクター』に続きダニエル・クレイグが6代目ジェームズ・ボンドを演じます。
ダニエル・クレイグによる最後の『007』がついに公開されたということで大変話題になりました。
ファッション界においても007シリーズの公開は大きく取り上げられます。
魅力的なキャストに加え度迫力なアクションシーンで観るものを引き込み虜にする映画007シリーズ。
しかし、映画の魅力はそこだけではありません。
ダニエル・クレイグ演じるジェームズ・ボンドのファッションにも毎回大きな注目が集まります。
なんといってもバリエーション豊富なスーツスタイルとタキシードスタイル。
ビシッと着こなしたスーツやタキシードはいつの時代の男性をも虜にし、憧れです。
タキシードをオーダーされる方でも「007のこのシリーズで着ていたタキシード」を着たいです。
と画像をお持ちいただきお仕立てさせていただく方が本当に多いことも007の凄さを感じます。
そこで今回は、「オーダーで007タキシードを仕立ててみよう」ということで『スペクター』のタキシードをお仕立てする場合の注目のポイントや、オーダー方法までを解説していきます。
あなたもこれでジェームズ・ボンドだ!!
目次
『スペクター』のタキシードについて
理想のタキシードを仕立てる場合は、まずイメージをしっかり持つことが大切です。
今回はモデルとなるタキシードがありますので、そのタキシードを詳しく見ていきましょう。
ブランド
まずはタキシードのブランドですがアメリカのラグジュアリーブランドであるトムフォード(TOM FORD)です。
トムフォード(TOM FORD)とはトム・フォード氏が2005年に立ち上げたブランドでブランド立ち上げ以前はグッチ(GUCCI)・サンローラン(SAINT LAURENT)でデザインを担当し、特にグッチ(GUCCI)においては落ち込んでいた業績を見事立て直しました。
ダニエル・クレイグが6代目ジェームズ・ボンドを演じ1作目はブリオーニ(BRIONI)で演じましたがそれ以降『慰めの報酬』から『スカイフォール』・『スペクター』そして今回の最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』までの、4作品連続でトムフォード(TOM FORD)をま着用しています。
『スペクター』のタキシード〜デザイン編〜
衿型
タキシードの衿型としては主にショールカラーまたはピークドラペルになりますが
『スペクター』でのタキシードはピークドラペルの衿が採用されています。
タキシードの衿としてピークドラペルはスタイリッシュな印象になります。
またピークドラペルは英国で多く着用され英国式の印象になります。
これはフォーマルウェアでタキシードは準礼装に位置し、正礼装である燕尾服に準ずる位置付けになります。
燕尾服の衿型はピークドラペルです。タキシードはその燕尾服に準ずる衣装という点からタキシードでもピークドラペルというわけです。
一方、ショールカラーではタキシード感とエレガントな印象が出てきます。
『スペクター』でのタキシードは英国式でスタイリッシュな印象のピークドラペルですね。
衿幅
衿型と同様、衿の幅もタキシードの印象を大きく左右するポイントになります。
細衿(ナロー)から太衿(ワイド)までありますが
『スペクター』で採用されているのは太衿(ワイド)な衿幅です。
衿幅が太いことで、落ち着いた印象になり全体的な雰囲気としてダンディーな印象になってきます。
逆に衿幅を細く(ナロー)すると、若々しくナチュラルな仕立て上がりになります。
ワイドで、ダンディーにタキシード感たっぷり男性としての貫禄のワイドのピークドラペルが『スペクター』で採用されているタキシードの特徴になります。
衿のステッチ
衿にステッチが入っているタキシードがあります。
ステッチとは表にミシンの糸目が見えている状態を指します。
しかし、『スペクター』のタキシードではこのステッチが衿には入りません。
多くのラグジュアリーブランドがタキシードを発表していますが、基本的にはブランドものでも入らないものの方が多いです。
ステッチが入ることにより、少々カジュアルな印象になります。
『スペクター』のタキシードをご希望の場合は衿にこのステッチを入れない様にしましょう。
フロントボタン
こちらはフロントのボタンの数に注目です。
『スペクター』のタキシードではフロントボタンは2つボタンが採用されています。
基本的にタキシードはシングルボタンと呼ばれる1つボタンとされています。
これに関しては、基本の形を知らずに仕立てたということは、まずないことから
デザインとしてのこだわりや遊び心の部分でしょう。
あくまで、正統派タキシードとしてモチーフとして仕立てる場合は1つボタンでもカッコよく仕立て上がると思います。
忠実にタキシードを再現する場合はフロントボタンは2つで仕立てましょう。
そしてボタンは衿と同じ素材であるシルク地(拝絹はいけん)で仕立てられたクルミボタンになっています。
袖口
次は袖口のディティールを見ていきましょう。
(袖口なんて細かすぎない?)と思う方。いいえ。そんなことありませんよ?
ポスターを見てください。銃を持ち前で腕を組むボンド。
お袖口左右共にしっかり見えているでしょ?
お袖口はあまり意識しない方も、着ていてお食事や歩いている時など意外と目に付くことが多いのです。
『スペクター』での袖口を見ていくとお袖口は5つボタン。
ボタンはフロントと同様のシルク(拝絹はいけん)のクルミボタンが付いています。
5つのボタンの内、1番下のボタンを外して着ています。
この着こなしまで再現するのであれば、袖口の仕立てを「本切羽」で仕立てる必要があります。
本切羽とは、袖口のボタンホール(穴)もしっかり開いていてボタンによる開閉が可能な仕立てになります。
多くの既製品では「開き見せ」という仕様になっていることが多いです。
開き見せとは、ボタンホール(穴)が開いておらず飾りとして付いているものです。
ボタンによる開閉が出来ない仕立てとなります。
やはり、高級仕立てと言われるのは本切羽になります。
オーダーの場合は、この本切羽での仕立てが出来るところと出来ないところがありますので注意が必要です。
腰ポケット
ジャケットの腰部分に付くポケットに付いて解説していきます。
腰ポケットに関しては、玉縁ポケットになります。
これはタキシードの正式な部分を採用しています。
普段スーツを着ている方では、フラップと呼ばれるフタがあることが普通かと思います。
このフラップは雨避けのために付いているもので本来お外で着る衣装に付くのが正式です。
タキシードは本来室内できる衣装になりますのでこのフラップが付かないことが正式となるのです。
ベント
ジャケットの裾部分に入る切り込み(割れ目)の部分をベントと呼びます。
ベントについてはこちらの記事にまとめていますので詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
https://onari-consultation.com/vent/294/
タキシードは本来ノーベントが正式とされています。
しかし、『スペクター』のタキシードではセンターベントが入るのが特徴です。
これは、激しいアクションに対応して入れているのかもしれませんね。
最近のラグジュアリーブランドでも基本はベントやベンツが入るのが基本です。
『スペクター』のタキシード〜着こなし編〜
ジャケパンスタイル
まずはなんといっても綺麗にまとまったジャケパンスタイルではないでしょうか。
ジャケットは衿と腰のポケットの部分に使われる拝絹(はいけん)部分もホワイトでオールホワイトのジャケットに仕立てています。
スラックスはミッドナイトブルー。日本では濃紺と呼ばれるお色味です。黒と紺(ネイビー)の中間色です。紺(ネイビー)とは似てますが別ですのでご注意。
現在でも格式高い色として位置づけされるミッドナイトブルーを細身で仕立てています。
スラックスもホワイトにしてオールホワイトのコーディネートよりも締まった印象になりますしタキシード感としてのフォーマル度とオシャレさがグッと出てきます。
ジャケパンスタイルはタキシードの着こなしでは凄くオススメです。
詳しくはこちらの記事を見てみてください。
https://onari-consultation.com/jacketpants-style/594/
ボウタイ(蝶ネクタイ)
まずは形ですが、スペクターで使用されているボウタイの形はポインテッドと呼ばれる剣先のあるタイプです。
ボウタイも様々な形があります。
皆さんが想像する形はバタフライではないでしょうか。
顔まわりに入るアイテムになりますので、少しの違いで大きな印象の違いになります。
スペクター忠実再現なら剣先のあるポインテッドと覚えておきましょう。
その他の形についてはこちらの記事にまとめてありますのでよかったら是非!
https://onari-consultation.com/tie/196/
シャツ
シャツは王道の白。
衿の形はレギュラーカラー。
カフスはダブルカフスです。
タキシードの際、シャツの衿の形はレギュラーカラーまたはウィングカラーです。
今回の着こなしではフォーマル感とドレッシーさよりも、オシャレにリラックスした雰囲気の着こなしになっています。
カフスはダブルカフスと呼ばれる折り返しになっています。カフリンクスで留めて使用していますね。
こちらもタキシードの基本の着こなしです。
ダブルカフスの他にはシングルカフスがあります。
こちらも詳しいタキシードのシャツのルールについてはこちらでまとめています。
https://onari-consultation.com/tuxedoshirt/653/
作る上での注意点
007スペクターのタキシードを作る上でのディティールは分かりました。
では実際に作っていく上での注意点を見ていきましょう。
店舗選び
まずは何と言っても店舗選びが大切になります。
理想のタキシードのイメージはしっかりとあるので、あとはそれを再現できる店舗を見つける必要があります。
オーダーが出来ればどこでも良いわけではありません。
店舗によっては不可能な部分があるからです。
衿
タキシードにとっては大きく印象を決定付ける衿ですが、店舗によっては衿の自由度に差が出ます。
まずは衿のデザインを自由に選べるのか、幅まで自由に選べるのかが今回は重要になります。
衿の形は自由に選べても、幅やその形は固定され自由に変える事が出来る店舗とできない店舗は結構分かれます。
来店前に事前にご相談する事が大切になるでしょう。
袖口
袖口のディティールも、紹介した様に本切迫と開き見せの2種類がありました。
スペクターのディティールを細かく再現するのであれば今回は本切迫になります。
本切迫とは高級仕立てと言われており、オプション料金を支払えば可能な店舗・オーダー料金内で仕立て可能な店舗・そもそも不可能な店舗があります。
細かくディティールを再現するのであれば、本切迫での仕立てが可能な店舗を探しましょう。
生地の種類の豊富さ
生地の種類の豊富さと言う点もすごく大切になります。
今回はホワイトとミッドナイトブルーのジャケパンスタイルになります。
まずはホワイトですが、そもそも種類が少ないです。
純白で光沢感の強いものや、生成りのような少しクリーム色っぽい生地などホワイトと言っても様々。
これはミッドナイトブルーでも同様です。
黒と紺の中間色だからこそ、黒よりと紺よりで幅の広さがあります。
今回は極力黒寄りのミッドナイトブルーを選択することをオススメします。
それもこれも、生地の種類が多い店舗でないと好みで選ぶことが出来ません。
サイズ感
最後に何と言ってもオーダーで大切になるサイズ感の自由度です。
せっかくカッコ良いデザインのものでも、サイズが合っていなければそれだけで全てが台無しです。
ある程度信頼のおける店舗を選ぶことが大切でしょう。
細かくサイズを取ってくれて、しっかり1人1人オーダーをしてくれるところがオススメです。
仕立てた商品に実際に袖を通してみてサイズの微妙な違いがあった場合、お直しをしてくれるところもあります。
お直し対応している方が安心してお任せ出来ると思います。
身体にあったサイズで仕立てる事ができるかどうかで雲泥の差があります。
ここは是非ともしっかりと見極めて欲しいところです。
実際のオーダーの流れについてはこちらから
https://onari-consultation.com/way-of-ordering/579/
まとめ
今回は大人気、映画007シリーズの『スペクター』のタキシードを紹介してきました。
ディティールもすごく洗練され、こだわりがあり素敵ですし、ホワイトのジャケットにミッドナイトブルーのスラックスを、合わせるジャケパンスタイルも見事です。
ディティールも今回は細かく見ていきましたが、それぞれの意味や違い、印象の差なども踏まえて紹介してきました。
本当に同じデザイン・着こなしで素敵な1着を仕立てるもよし、『スペクター』のタキシードをベースに少し自分好みにアレンジするもよしです。
素敵なタキシードを着て、あなたもあなただけのジェームズ・ボンドを目指しましょう。
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