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フォーマルにおける弔事とは
弔事には、葬式、通夜、告別式、初七日、四十九日、一周忌など法事までが含まれます。
「冠婚葬祭」と言われるように弔事ではその場に合った喪服を着用することが原則です。
第一に考えなければならないのが悲しみの心を表すという事。そのため華やかさを演出する事は絶対に避けなければならりません。また着用者がどの様な立場なのかによっても変わってきます。ここについては着こなしにて紹介します。黒と白のみでシンプルに装いという点は統一されています。これについてはご存知の方も多いかと思います。しかしスーツで行けば大丈夫とお考えの方も少なくないでしょう。あまり着る機会もありませんし、そもそも着なくて済むのなら着たくはない衣装でしょう。
しかし、人は平等に「死」というものが訪れます。結婚式などの慶事とは違い明確に着こなしが決まっています。そこではしっかりとした知識があるか無いか明白に出てしまします。ではもう少し具体的にも服について紹介していきます。
成り立ち
庶民に黒の喪服が広がったきっかけとなったのが、第二次世界大戦後でした。
当時の喪服は、貸衣装を着用することが一般的で、貸衣装屋には白と黒の喪服が混在していました。第二次世界大戦によって日本中に戦死者が急増し、貸衣装屋で喪服を借りる人も急増しますが、借りる頻度が増えたことで白い喪服は汚れが目立ち、直ぐに使い物にならなくなってしまいました。そこで、貸衣装屋は、汚れが目立たず手入れのしやすい黒の喪服を揃えるようになりました。その後、手入れのしやすさや喪服を黒に統一している欧米諸国の影響もあり、急速に黒い喪服が庶民にも広まっていきました。また、黒という色には何ものにも染まらない事で永遠に変わらぬ愛を示すためと言われています。
また、冠婚葬祭のマナー意識も、第二次世界大戦をきっかけに大きな変化がありました。
戦前では、喪服を着用するのは遺族だけでよいと考えられていました。しかし、戦後、ご葬儀自体が社会的に大切な通過儀礼として認知され、冠婚葬祭のマナーを身に付けようとする意識が急速に人々に浸透し、ご遺族だけでなく会葬者もマナーとして黒の喪服を着用する考えが広まって行ったのです。
弔事でのTPO
弔事では立場によって服装を変えます。
喪主については葬儀から一周忌までモーンニングコートが正礼装とされます。準礼装はディレクターズスーツ。略礼服はブラックスーツとされていますが、ダークスーツも可です。
喪主に近い親族についてもこれが原則とされます。通夜以降の法事の場合、ダークスーツ、ブラックスーツを着用し回を重ねる毎に喪服としての色味を薄めてゆくのが原則。
通夜においても訃報を聞きつけ普段着でもすぐに駆け付ける方が良いとされたのは少し昔のマナーとなりつつある。現在は通夜であってもしっかりとした服装で行く事がマナーとされるので注意。どうしても急な訃報により普段着で行く事になった場合は普段着と言ってもカジュアルすぎる服装は避けたい。色味もできる限り抑えて地味な服装で行くのが原則です。どうしても急という事であれば何か羽織りものにて悲しみの心を表しましょう。
弔事での着こなし
弔事での着こなし
・モーニングコート:モーニングコートにはコールパンツ(縞コール)を合わせるが縞の幅は狭いものが好ましいとされ縞の幅が広く明るく華やかな物は避けるべきです。カトリック系の葬儀では黒のトラウザーズを合わせる事もある。
・ディレクターズスーツ、ダークスーツ、ブラックスーツも着こなしとしては原則としてモーニングと同じです。
・ベスト:ジャケットとと共地が原則とされるので黒。白の縁飾り(カラースリップ)は外すのが日本の古くからの習慣である。
・シャツ:レギュラーカラーの白シャツ
・タイ:黒の無地結び下げ
・カフリンクス:カフリンクスは黒かシルバーで無飾りな物。
・靴下:黒無地ホーズ(白はNG)
・靴:黒のプレーントゥまたはストレートチップ
欧米ではチャコールグレーのダークスーツがフォーマルの万能服とされる。
華やかなに着飾らないという点ではボタンもメタルではなくクルミボタンが好ましい。
まとめ
弔事まとめ
・悲しみを表す事が第一、華やかな演出は避けよう
・日本では第二次世界大戦以降に現在のスタイルが確立
・喪主の場合、葬儀から一周忌まではモーニングが正礼装
・法事ではダークスーツ、ブラックスーツを着用し回を重ねる毎に色味を薄めてゆくのが原則
・通夜に急に駆けつける際も地味な服装でカジュアルすぎは避ける
・欧米ではチャコールグレーのダークスーツがフォーマルの万能服とされる
そもそもフォーマルウェアとはその場の「格」の統一が目的です。大切な人との最後の時間。服装によって敬意を表しあい、無駄な不安や心配をせず済む様しっかりと知識をつける事が大切です。しかしこの様な場合は地域特有の着こなしや風習がある事があります。その際はそのルールに従ってください。
ここで紹介したのはあくまで大きな規模で見たフォーマルウェアになります。基本をしっかり知っているという事は無駄ではありません。ガイドラインとなるからです。
服装ももちろん大切ですが故人を思う気持ちが何より大切です。敬意を表すということの表れが服装である事を忘れては行けません。
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