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タキシードとスーツの違いについて

「フォーマルな格好で」と「フォーマルウェアで」では全然違います。

タキシードとスーツ。

すごく似ているこの2着一体どこでタキシードとスーツという見分けをするのでしょうか。

ブラックで統一した着こなしであればスーツでもフォーマルというのか、何をもってスーツとタキシードを分けているのかディティール、着こなしを織り交ぜて解説します!

今回のラインナップです。

目次

ディティール編

左:スーツ    右:タキシード

まずはなんと言っても衿の違いです。

(あ〜衿ね。衿の違いは知ってるよ。あの丸いラウンドの衿がタキシードでしょ!)

と認識されている方、すごく多くいらっしゃいますがタキシードとスーツの衿の違いは形ではないんです。

実は、衿に使われている素材の違いタキシードスーツという風に区別されます。

タキシードには拝絹(はいけん)と呼ばれるシルク生地が使われています。

この拝絹が使われるようになった理由としては、諸説ありますが照明がまだ発達していない時代に

室内の照明でもお顔写りが良くなるよう光沢のあるシルクを衿に使ったという説が有力です。

写真撮影の際に用いるレフ板のようなイメージですね。光を反射させて顔を見えるようにしたというものになります。

このことから、本来のタキシードはシルクを用いるのが正式とされます。

シルク以外のものは正式ではないの?

現在はポリエステルやサテンなどで代用されているものもと格式の差は特にありません。

現在タキシードではシルクではなくポリエステルやサテンなどで代用されているものも多くあります。

こだわりをお持ちの方や、クラシカルな正式なタキシードをお探しの方は、準備する際お気をつけ下さい。

「正式はシルク」と覚えておきましょう!

スーツの衿では拝絹は使わず、ボディと同じ生地で仕立てられます。

このことから、初めに紹介しましたショールカラーと呼ばれる丸衿のタイプでも拝絹が使っていなければショールカラーのスーツということになります。

よく「タキシードはショールカラーまたはピークドラペル」と言われます。

確かにタキシードとして一般的な衿はこの 2つですがスーツでよく使われるノッチドラペルでも拝絹を使えばタキシードになります。オーダーでお考えの方はノッチドラペルのタキシードもオシャレ感があり他人とも被らない特別感も出ます。サンプルで試着出来る機会がありましたら是非試して見てください!

「拝絹が使ってあればタキシード」これがタキシードとスーツの1番の大きな違いです。

側章

タキシードパンツには脇の部分に(両側)1本ラインが入っているのはご存知でしょうか。

これは側章「そくしょう」と呼ばれるものでシルクのラインが入っています。

側章は、高級仕立ての証として取り入れられたことが始まりとされます。

本来、この部分には縫い目が出る部分なのですが、当時はこの縫い目が見えるということは恥ずかしい事とされていました。

そこでシルクのラインを巻き込むように縫い付け縫い目を隠したのです。

側章1本はタキシード2本では燕尾服の証として現在は取り入れられます。

スーツには見られないデザイン的な部分ですが、当時の時代背景を色濃く残した名残の部分と言えます。

フラップポケット

腰の部分に付けられるポケットにも違いがあります。

スーツにはフラップポケットというものが付くのが一般的です。

しかし、タキシードではこのフラップが付かないというのが本来の正式な形とされます。

このフラップとは雨蓋という意味があり、雨やホコリから防ぐためのもの。いわば外で着ることを前提として付けられたものになります。

タキシードは室内で着る服として誕生をしていることからもフラップがつかないのが正式なのです。

ベント

ジャケットの後ろや脇部分。下の方に切り込みがあるのを見たことがあるでしょうか。

実はこの切り込みは「ベント」と呼ばれます。

なおベントは単数系になりますので両脇に2本切り込みが入る場合は「ベンツ」という風に複数形になります。

背中に1本の場合は「センターベント」両脇に2本入る場合は「サイドベンツ」になるのです。

スーツにはベントが入るのが基本となっていますが、タキシードには入らない「ノーベント」が正式とされています。

センターベントは本来乗馬の際、ジャケットが綺麗に馬の背で左右に分かれて美しく見えるように取り入れられました。

このことから別名「馬乗り」とも呼ばれています。

対してサイドベンツはサーベルを挿す際に邪魔にならないように取り付けられました。

このことから「剣吊り」と呼ばれます。

タキシードはこの様な用途で仕立てられた服ではないのでベントが必要ではありません。

このことからベントの入らないノーベントが正式というわけです。

着こなし&ルール編

ベスト・カマーバンド

タキシードを着る際はベストまたはカマーバンドを身に付けることがルールとされています。

これはシャツが下着として着用されていた歴史からきているルールになります。

下着であるシャツは相手になるべく見せるものではないというところから、ベストかカマーバンドをつけるのです。

また、シャツに関してはボタンも見えてはいけません。

ボタンとは下着の装飾品になりますので見えるということは相手に対して失礼に値するからです。

基本的には胸にヒダの入るピンタックシャツ。

または比翼シャツになります。

シャツについて詳しく知りたい方はこちらで詳しく解説しています。

スーツの場合はベストを着ない2P(ツーピース)で着ることが現代の主流になっていますし

シャツのボタンも基本は見えています。

しかしフォーマルウェアであるタキシードではシャツを相手になるべく見せないということから

ベストまたはカマーバンドを身に付けるというルールがあります。

ここもスーツとタキシードの大きな違いと言えるでしょう。

靴の種類でもスーツとタキシードでは違いが出ます。

タキシードの際はエナメルの内羽式シューズまたはオペラパンプスというのが正式です。

こちらもなぜエナメルになったのかというと「ジェントル精神」からきています。

元は夜会などで着用されており、隣には優雅なロングドレスの女性が。

カーフ(革靴)の場合普段のお手入れは靴墨でされます。

もし、女性のロングドレスの裾に靴が擦った際、靴墨で磨かれたカーフだとスカートの裾を汚してしまう…

そこで、靴墨でのお手入れが不要なエナメルのシューズというのが現代でも正式なルールとされています。

まさに「相手を思う」装うという行為だと思います。

タキシードの場合は色は「黒」。メダリオンなどの飾り穴のないシンプルなストレートチップまたはプレーントゥ。

一方、スーツの場合は特に正式なルールなどはなく、様々な色の革靴を履きますし

飾り穴も絶対にNGということはありません。

TPOさえしっかり押さえていれば自由にコーディネートできます。

まとめ

タキシードとスーツの違いについて紹介しました。

見た目の印象ではそんなに大きな違いがなさそうに見えるタキシードとスーツですがディティール、着こなしなど掘り下げてみていくと、やはりフォーマルウェアであるタキシードは当時の時代背景が現在でも色濃く残っているような印象があり、そのことから正式なルールというものがあります。

単に(こういうものだ!)というルールよりも、なぜこうなっているのか、なんでこのディティールになったのかとそれぞれ理由があるのが個人的にはすごくロマンがあって好きです。

タキシード、フォーマルウェアの考えとして基本に「相手」があります。相手のことを思い服を着る。

思いやりの精神を服装で表現する、これがまさに「装う」ということなのですね。

素晴らしい考え方だと思います。

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